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最終更新日:2025.2.21女性も注意!いびきの裏に潜む睡眠時無呼吸症候群

いびきと関連する健康リスク
いびきは、睡眠中に気道が狭くなることで発生する音です。空気が気道を通る際に、喉や軟膏部分が振動することで独特の音が生じます。いびきは睡眠時に体がリラックスし、特に喉や舌の筋肉が緩むことが原因で発生します。健康な人にも起こり得るものですが、頻繁に起こるいびきは、睡眠時無呼吸症候群などの病気の兆候である可能性があります。
そのいびき、睡眠時無呼吸症候群かも?
いびきを放置すると、重篤な健康問題に発展することがあります。例えば、いびきは睡眠時無呼吸症候群の主な症状の一つであり、無呼吸状態が持続すると体の酸素欠乏を引き起こします。
その結果、高血圧や心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まります。また、糖尿病や高脂血症などの生活習慣病の発症リスクとも関連が指摘されています。
特に女性の場合、加齢やホルモンバランスの変化がいびきの原因となるケースもあり注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群が及ぼす日常生活への影響

いびきが原因で睡眠の質が低下すると、日中の生活にも大きな影響を及ぼします。例えば、慢性的な睡眠不足によって倦怠感や集中力の低下が生じることがあります。結果として、仕事や学業のパフォーマンスが低下し、交通事故やヒューマンエラーのリスクが高まる可能性もあります。
また、本人の自覚がないままいびきが原因で日中の眠気が強くなるケースも多く、適切な検査や治療が求められます。
男女間のいびき事情の違いとその背景
いびきは性別によって発生しやすい背景や要因が異なる特徴があります。一般的には男性に多く見られるとされていますが、女性も加齢や更年期にさしかかるといびきのリスクが高まります。これは、女性ホルモンが減少すると筋肉の緩みや脂肪の蓄積が進むためです。
また、肥満や飲酒、喫煙といった生活習慣もいびきに大きく影響します。最近ではアプリを利用して自分のいびきをチェックする人も増えており、男女を問わずいびきに対するセルフモニタリングが広がっています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の基礎知識
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中に何度も呼吸が止まったり(無呼吸)浅くなったり(低呼吸)する病気です。この状態が続くと体内が低酸素状態に陥り、健康に様々な影響を及ぼします。
SASは大きく分けて、気道の狭窄が原因となる「閉塞型」、脳の呼吸調整機能の低下による「中枢型」、そして両者が混ざった「混合型」の3種類があります。特に閉塞型が多く、いびきが重要な症状のサインになります。
主な症状:無呼吸・いびき・日中の眠気
SASの主な症状には、睡眠中の激しいいびき、突然の呼吸停止、息苦しさでの夜間覚醒があります。また、朝起きたときには頭痛や身体のだるさを感じることが多く、日中には強い眠気や集中力の低下が起きることもあります。
そのほか、不眠や気分の落ち込み、性格の変化がみられる場合もあり、放置すると日常生活や仕事に大きな影響を及ぼします。
発症するリスク要因:肥満、加齢、性別
睡眠時無呼吸症候群は様々なリスク要因によって発症します。最も一般的な要因は肥満であり、お腹周りの脂肪が気道を圧迫することで問題が生じやすくなります。また、加齢も重要な要因で、喉周りの筋力が低下することで発症しやすくなります。
さらに男性に多い病気とされていますが、女性にもリスクは存在します。特に閉経後の女性はホルモンバランスの影響で発症率が上がる傾向にあります。
なぜ女性にも注意が必要なのか?
SASは男性に多いとされますが、女性、特に閉経後の方も注意が必要です。これは、閉経によるエストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンの減少が気道の筋肉を弱めたり、体重増加を引き起こしたりするためです。また、女性の場合は典型的ないびきや呼吸停止といった明確な症状が出ない場合も多く、日中の眠気や抑うつ気分などが主な現れ方になることがあります。そのため、見過ごされやすい傾向にあり、適切な検査や治療が遅れるリスクが高いのです。日常的な健康管理や早期の検査を行うことが重要です。
睡眠時無呼吸症候群の診断と検査方法
診断基準と無呼吸低呼吸指数(AHI)の概要
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診断では、「無呼吸」や「低呼吸」の頻度と重症度が重要な指標となります。無呼吸とは、気道が一時的に閉塞し10秒以上呼吸が止まる状態を指し、低呼吸とは、気道の部分閉塞により呼吸が浅くなる現象を指します。
これらを評価するために使用されるのが「無呼吸低呼吸指数(AHI)」という指標です。AHIは1時間あたりの無呼吸や低呼吸の回数を数値化し、以下の基準で重症度を分類します:
- 軽症: AHIが5~15回
- 中等症: AHIが15~30回
- 重症: AHIが30回以上
この数値が高いほど治療を急ぐ必要があり、特に重症の場合は深刻な健康リスクが伴うことが多いです。女性の場合、閉経期後に重症化するリスクが高まるため、早期の診断が重要です。
在宅で行える睡眠時無呼吸症候群の簡易検査
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合、在宅での簡易検査を行います。この検査では、専用のアプノモニターを利用して、睡眠中の呼吸状態や酸素飽和度を記録します。簡易検査は専門医の診断がなくても比較的手軽に実施でき、自宅でリラックスした環境で行えるという利点があります。
また、最近ではスマートフォンのアプリを使用した睡眠チェックツールも登場しており、いびきの頻度や睡眠状態をチェックすることが可能です。ただし、これらはあくまで目安であり、正確な診断には医療機関での検査が必要です。在宅での簡易検査は特に軽症から中等症の疑いがある場合に適しており、スクリーニングとして役立ちます。
病院でのポリソムノグラフィ検査とは?
より詳細な診断を行う必要がある場合、病院で「終夜睡眠ポリグラフ検査(ポリソムノグラフィ)」が実施されます。この検査では、睡眠中の脳波、心拍数、血中酸素レベル、呼吸の状態、体の動きを同時に記録し、睡眠障害の全体像を確認します。ポリソムノグラフィは簡易検査よりも正確であり、いびきや無呼吸の原因を体系的に判断するために欠かせません。特に重症例や心血管合併症が疑われる場合、この検査は必須となります。また、こちらの検査も自宅での検査も可能です。
こんな症状は、睡眠時無呼吸症候群の検査を検討しましょう
以下が検査を検討すべき主な症状や状況の例です。
- 周囲からいびきを指摘される、またはいびきが非常に大きい。
- 睡眠中に呼吸が止まっていると指摘される。
- 起床時に頭痛や倦怠感を感じることが多い。
- 日中の強い眠気や集中力の低下を感じる。
これらの症状が見られる場合、早めに医療機関を受診し適切な検査を受けることが重要です。女性の場合、睡眠時無呼吸症候群の症状が男性とは異なり、不眠感や気分の変調として現れることもあります。そのため、自己判断で放置することなく、検査を受けることが健康な睡眠への第一歩となります。
大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニックでは、睡眠時無呼吸症候群の簡易検査が可能です。
日本呼吸器学会呼吸器専門医である院長が、丁寧に問診・診察を行っておりますので、いびきや無呼吸が気になる方は気軽にご相談ください。
また、院長は女性ですので、女性の患者さんで男性医師に「いびき」のことで相談がしにくいという方でも安心して受診していただけます。
睡眠時無呼吸症候群の治療法
CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)

CPAP療法(持続陽圧呼吸療法)は、睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療法です。専用の装置を用いて、鼻や口から気道に一定圧の空気を送り込むことで、気道の閉塞を防ぎ、スムーズな呼吸を維持します。この治療法は、重症度が高い患者にも有効で、いびきや無呼吸による低酸素状態の改善に高い効果が期待できます。
一方で、副作用として、口や鼻の乾燥、鼻づまり、軽度の頭痛などを訴える方もいます。しかし、適切に装置を調整し使用することで、多くの患者は症状に慣れ、治療効果を十分に享受することができます。また、CPAP装置は最近では軽量化され、使い勝手が向上しており、継続的な使用がしやすくなっています。
マウスピースや外科的治療法の選択肢
軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群の場合、マウスピースを用いた治療も有効です。このマウスピースは、睡眠中に下顎を前方に保持することで気道を広げ、いびきや呼吸停止の改善を目指すものです。コンパクトで携帯しやすく、旅行などにも便利であるため、CPAP療法が適応されない患者様には特に好まれます。
一方、骨格や扁桃腺の問題が原因となっている場合には、外科的治療も選択肢に挙げられます。具体的には、顎の形状の調整手術や、扁桃腺や口蓋垂の切除術などがあります。ただし、これらの治療は一般的に侵襲性が高いため、慎重な判断が必要です。
日常生活でできる改善策:食事、運動、睡眠姿勢
生活習慣の改善も、睡眠時無呼吸症候群の大切な治療・予防策です。特に、肥満が原因となっている場合、適切な体重管理が重要です。食事では、バランスの取れた食事を基本とし、脂肪分や高カロリーの食事を避けることが推奨されます。また、適度な有酸素運動や筋力トレーニングは、体重減少や気道周囲の筋肉強化に役立ちます。
さらに、睡眠中の姿勢を見直すことも効果的です。仰向けで寝ると舌が喉に落ち込みやすく、気道をふさぐ可能性が増します。これを避けるため、横向きで寝る姿勢を維持する工夫が有効です。最近では、睡眠位置を記録・改善するアプリやデバイスが開発されており、睡眠時の姿勢の改善をサポートしてくれます。
日常生活における女性特有の工夫
女性の場合は、ホルモンバランスの変化が睡眠時無呼吸症候群の症状や重症度に影響を及ぼすことがあります。特に閉経後、エストロゲンの減少により症状が悪化することが指摘されています。そのため、定期的な健康チェックや、専門医との相談が重要です。
また、家族との役割や仕事の両立によりストレスが溜まりやすい女性は、生活習慣の改善において意識的な工夫が求められます。例えば、夜間のリラックスを促すヨガや瞑想、カフェインの適度な摂取などが推奨されます。さらに、睡眠記録アプリを活用して自分の睡眠パターンを分析し、改善のヒントを見つけるのも効果的です。

予防と早期介入の重要性
いびきを放置するリスク
いびきを放置すると、睡眠時無呼吸症候群(SAS)などの深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。いびきは単なる騒音ではなく、体に警告信号を発している場合があります。特にSASの場合、呼吸が繰り返し停止するため、低酸素状態が続き、心拍に負担がかかります。その結果、高血圧や脳卒中、心筋梗塞といった深刻な疾患のリスクが高まります。
さらに、日中の強い眠気による交通事故や作業ミスの増加、仕事や学業での集中力低下など、社会生活にも重大な影響を及ぼします。軽視されがちな症状ですが、放置することで病状が進行し、重症度が増す可能性もあるため注意が必要です。
早期発見で取り戻す健康な睡眠
いびきや日中の眠気に悩んでいる場合、早めに原因を突き止めることが重要です。現在では、簡易型のアプリや家庭用検査キットを利用して睡眠状態を把握することができます。また、無呼吸や低呼吸の重症度を測るための検査、例えば簡易検査や病院でのポリソムノグラフィ検査を受けることで、状況を正確に診断することが可能です。
早期の診断と適切な治療により、睡眠の質が改善され、日中の眠気や倦怠感が軽減されるだけでなく、健康リスクも低減されます。特にCPAP療法や生活習慣の見直しなど、個々の状況に合った治療を受けることで健康な睡眠を取り戻すことができます。
家族やパートナーの協力がもたらす効果
いびきや睡眠時無呼吸症候群の早期発見には、家族やパートナーの協力が重要な役割を果たします。本人は深夜に呼吸が止まっていることや、いびきがどれほど大きいかを自覚していない場合が多いため、周囲の指摘が診断のきっかけになります。
また、治療や生活習慣の改善を継続していく上でも、家族やパートナーのサポートが心の支えとなります。特に女性の場合、家庭内のスムーズな協力が生活習慣の改善にプラスの効果をもたらすことが多いです。睡眠に関する問題は一人で悩むのではなく、家族全体で向き合うことで解決が進みやすくなるでしょう。
いびき・無呼吸が気になる方は、大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニックへ
大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニックでは、日本呼吸器学会呼吸器専門医である女性院長が、丁寧に問診・診察を行っております。女性の患者さんで男性医師に「いびき」のことで相談がしにくいという方でも安心して受診していただけます。
睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、簡易検査を行った上で重症度に応じてCPAP療法やマウスピースなどの治療法をご提案いたします。
手術療法を検討する必要がある場合は、適切な医療機関へご紹介させて頂きますのでご安心ください。