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最終更新日:2025.6.3風邪は治ったのに咳が止まらない? ~感染後咳嗽とは~

目次
- 感染後咳嗽(がいそう)とは?
- 感染後咳嗽の原因
- ―気道の炎症と過敏性の亢進
- ―後鼻漏(こうびろう)
- ―感染を契機とした喘息やアレルギー反応の誘発
- ―喉の乾燥や物理的刺激
- ―気道の神経反射の変調(神経学的要因)
- ―心理的ストレス・習慣性咳嗽
- 咳が続く期間とその影響
- 診断と検査
- 治療と管理
- 予防と注意点
- まとめ
感染後咳嗽(がいそう)とは?
風邪やインフルエンザなど、私たちが日常的にかかる上気道感染症は、一般的には発熱・喉の痛み・鼻水・倦怠感といった症状を伴いながら、数日から1週間程度で自然に回復します。
多くの場合、適切な休養と水分補給、必要に応じた対症療法によって症状は軽快し、元の健康な状態に戻ることができます。
しかし、感染症の症状が治まった後も、「咳だけが何週間も続く」という経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。このような状態は、単なる風邪の延長ではなく、「感染後咳嗽(がいそう)」と呼ばれる医学的な状態です。
感染後咳嗽とは、かぜなどの感染症が治癒した後も、咳だけが2〜8週間以上持続する状態を指します。これは、感染によって気道(のどから気管支、肺に至る空気の通り道)に生じた炎症や過敏性が、感染の治癒後も残存することで起こると考えられています。
つまり、感染そのものは既に収束しているにもかかわらず、咳という症状だけが「後遺症」のように残るケースです。
この咳は、時に乾いた咳(空咳)であることが多く、特に夜間や朝方に悪化しやすいのが特徴です。
また、運動後や冷たい空気を吸った際、会話中などにも咳き込むことがあり、生活の質(QOL)を大きく低下させる原因にもなります。
感染後咳嗽は、特定の薬剤によって速やかに治癒するわけではなく、自然経過に任せる場合も多いですが、時には咳喘息や他の呼吸器疾患との鑑別が必要になることもあるため、注意が必要です。
症状が長引く場合は、自己判断せずに医療機関を受診し、必要な検査と診断を受けることが重要です。
大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニックでは、感染後咳嗽の診療を行っております。
長引く咳でお困りの方は、大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニックへ是非ご相談ください。大阪エリアで信頼される呼吸器専門クリニックとして、大阪在住の多くの患者さまにご利用いただいています。
感染後咳嗽の原因
感染後咳嗽の発症には、いくつかの複合的な要因が関係していると考えられています。感染症そのものが直接の原因ではなく、感染によって引き起こされた生理的・免疫的変化が咳を長引かせるのが特徴です。以下に、代表的な原因を詳しく説明します。
気道の炎症と過敏性の亢進
風邪やインフルエンザなどの感染症によって気道(気管や気管支など)に炎症が生じると、その炎症が治った後でも気道が一時的に過敏な状態(気道過敏性)になります。これは、咳反射が敏感になっている状態で、通常なら反応しないような軽微な刺激(冷気、埃、香水など)にも反応して咳が出てしまうことがあります。こうした状態は気道の神経が一時的に「興奮状態」にあるためで、咳が慢性化する要因の一つです。
後鼻漏(こうびろう)
鼻水が鼻の奥から喉に流れ落ちる「後鼻漏」は、咳の非常に一般的な原因です。特に副鼻腔炎(蓄膿症)やアレルギー性鼻炎がある場合は、鼻腔内の粘液が増え、それが喉を刺激し、慢性的な咳反射を引き起こします。感染後は鼻腔や副鼻腔の炎症が一時的に長引くことがあり、その結果として後鼻漏が続くことで咳も持続します。
感染を契機とした喘息やアレルギー反応の誘発
感染後に咳喘息やアトピー咳嗽などが発症するケースもあります。これは、感染をきっかけに気道の免疫応答が変化し、気道がアレルギー的な反応を示すようになることが原因です。特に咳喘息は、喘鳴(ゼーゼー音)や息苦しさがなくても、咳だけが長く続く喘息の一種として知られています。この場合、吸入ステロイド薬や気管支拡張薬などが効果を示すことがあります。
喉の乾燥や物理的刺激
冬場の乾燥した空気やエアコンの風、煙草の煙、粉塵などの外的刺激は、感染後の敏感になった喉や気道をさらに刺激し、咳を誘発します。また、感染により喉の粘膜が傷ついている状態では、こうした刺激に対して通常よりも強く反応してしまうため、刺激性の咳が持続しやすくなります。これらは特に夜間や早朝、空気が乾燥している環境で目立つ傾向があります。
気道の神経反射の変調(神経学的要因)
近年では、感染後咳嗽において「咳中枢の神経反射異常」も注目されています。これは、気道から脳に信号を送る迷走神経や、その信号を処理する脳内の咳中枢が、感染によって一時的に感受性を高めてしまう現象です。その結果、咳が過剰に引き起こされるようになります。これは「咳感受性亢進症候群」として研究されており、慢性的な咳の一因として考えられています。
心理的ストレス・習慣性咳嗽
感染とは直接関係がないように思えるかもしれませんが、心理的ストレスや不安、咳をする習慣の定着も原因となることがあります。感染後に咳が習慣化し、無意識に咳を繰り返してしまうことで気道がさらに刺激され、咳が悪循環に陥ることがあります。こうした場合は、生活指導やストレスケア、時には心理的アプローチも必要になります。
咳が続く期間とその影響
通常、風邪やインフルエンザといった上気道感染症の症状は、発熱、鼻水、喉の痛み、倦怠感などを伴いながらも、おおむね数日から1週間程度で自然に軽快するのが一般的です。
多くの方がその後、元の健康状態に戻り、日常生活に支障なく過ごせるようになります。
しかし、こうした感染症が治癒した後にも、「咳だけがなかなか治らない」というケースが少なからず存在します。
解熱し、他の症状がすっかり消えた後も、咳だけが残り続けることがあり、これは単なる風邪の名残とは言えない場合があります。
このように、感染症が改善した後にも咳が3週間以上持続する場合には、「感染後咳嗽」と診断されることがあります。
さらに、咳が8週間以上にわたって続く場合は「遷延性咳嗽」、あるいは「慢性咳嗽」と分類され、別の病態を示唆することもあります。

診断と検査
感染後咳嗽の診断は、患者さんの症状や病歴を詳しく聴取し、必要に応じて以下の検査が行われることがあります。
- 胸部X線検査:肺炎や肺疾患の有無を確認するため。
- 喀痰検査:細菌やウイルスの感染の有無を調べるため。
- 呼吸機能検査:喘息やCOPDなどの呼吸器疾患の有無を評価するため。
これらの検査により、咳の原因を特定し、適切な治療方針を決定します。
大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニックでは、より高度な検査や治療が必要と判断した場合は、基幹病院をはじめ適切な医療機関へご紹介させていただきます。
治療と管理
感染後咳嗽の治療は、原因となる疾患や症状の重症度に応じて個別に行われます。一般的な治療方法は以下の通りです。
- 咳止め薬の使用:咳の頻度や強度を軽減するため。
- 吸入療法:気道の炎症を抑えるための吸入薬の使用。
- 加湿:乾燥した空気を避け、喉の乾燥を防ぐため。
- 禁煙:喫煙が咳を悪化させるため、禁煙が推奨されます。
また、生活習慣の改善も重要です。
十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動など、健康的な生活習慣を維持することが、回復を助けます。
大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニックでは、呼吸器疾患を専門に臨床経験を積んできた日本呼吸器学会 呼吸器専門医が診療いたします。
的確な診断と丁寧で分かりやすい説明を心掛け、納得していただいた上で治療を行ってまいります。
予防と注意点
感染後咳嗽を予防するためには、以下の点に注意することが重要です。
- 感染症の早期発見と適切な治療:風邪やインフルエンザなどの感染症を早期に発見し、適切な治療を受けることが重要です。
- 咳エチケットの徹底:咳やくしゃみをする際は口と鼻を覆うようにしましょう。
- 手洗いやアルコール消毒の徹底:手洗いやアルコール消毒をこまめに行い、感染症の予防に努めましょう。
- 十分な休養と栄養の摂取:体力を維持するために、十分な休養とバランスの取れた食事を心がけましょう。
特に、免疫力が低下している高齢者や慢性疾患を持つ方は、感染後咳嗽が重症化するリスクが高いため、早期の受診と適切な管理が必要です。
まとめ
通常、咳は風邪やインフルエンザなどの感染症が治癒してから数週間以内に改善しますが、長引く場合は専門的な評価が必要です。
咳が続く場合は、早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが重要です。
大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニックでは、呼吸器専門医が患者様一人ひとりに最適な治療を提供し、専門的なサポートを行っています。
大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニックへのアクセスは
大阪市営地下鉄「心斎橋駅」より徒歩1分、「なんば駅」「難波駅」からも徒歩10分圏内で、ミナミエリア全体からスムーズにご来院いただけます。
大阪梅田駅(梅田・大阪駅エリア)からも電車で約10分とアクセス良好。大阪市内はもちろん、周辺地域からの通院にも大変便利です。
呼吸器に関するお悩みや不安があれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。