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最終更新日:2025.4.17ヌーカラによる呼吸器疾患の新しい治療:効果と自宅での自己注射方法

ヌーカラとは?

「ヌーカラ」は、既存の治療では喘息症状をコントロールできない難治性気管支喘息や、効果が不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)、既存治療で効果不十分な鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の3つの炎症性疾患適応を有する日本で唯一の生物学的薬剤です。
喘息は気道の慢性炎症で呼吸がしづらくなる病気で、好酸球という細胞が炎症を引き起こし、重症化させる原因となります。ヌーカラは、体内で好酸球の働きを活性化するIL-5という物質を抑制する効果があり、好酸球の数を減らすことで、喘息の症状をコントロールし、喘息の発作を予防する事ができます。この薬は、注射で体内に投与するタイプの治療薬であり、自己注射として患者さん自身で自宅で投与できるのが特徴です。またこの薬は、気管支喘息の治療において、既に起こった発作を速やかに鎮める薬ではありません。
大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニックでは【ヌーカラ皮下注 100mgシリンジ】と【ヌーカラ皮下注 100mgペン】を取り扱っております。
ペン型の自己注射薬(ヌーカラ皮下注 100mgペン)は通常の注射に比べ痛みが少なく、また、病院へ通院する事無くご自宅での注入が可能です。
ヌーカラは、呼吸器の病気における症状の悪化を防ぐことができるため、患者さんの生活の質を大きく向上させることが期待できます。
ヌーカラの治療スケジュール
大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニックでは初回・2回目は当院で注射を受け、3回目以降は自宅で自己注射が可能となるため、治療の負担を軽減し、日常生活をより快適に過ごすことができます。
- 初回・2回目:当院で注射
最初の2回は、当院でシリンジを使用して注射を受けます。 - 3回目以降:自己注射
3回目からは、外来処方により自己注射が可能になります。医師や看護師からしっかりと指導を受けた後、自宅で注射を行うことができます。
ヌーカラの自己注射の使用方法

ヌーカラは自己注射薬として、患者さんもしくはご家族・介助者が自宅で注射を行うことができます。自己注射というと少し不安に思う方もいるかもしれませんが、ヌーカラは医療機関において、注射の方法をしっかりと学んだ後に使用できるようになります。自己判断で使用を中止したり、量を加減したりせず、必ず医師の指示に従ってください。
- 注射の準備
まず、ヌーカラの注射薬を冷蔵庫から取り出し、常温に戻します。(箱からペンを出して室温で30分以上おいてください。)使用前には外観に異常がないか、色が変わっていないかを確認します。 - 注射部位の選定
注射は皮下に行います。注射部位を選び、アルコール綿で拭いて消毒します。注射は太ももか腹部に行ってください。患者さん以外の人が注射する場合、上腕部に注射することもできます。毎回、注射部位を少しずつ変えることが推奨されています。 - 注射の実施
注射器を使って、指定された部位にゆっくりと注射します。薬液の注入が完了するまでに約15秒かかります。確認窓が黄色に変わることによって、 注入終了を確認できます。 - 注射後のケア
注射部位をアルコール綿で軽くおさえます。アルコール綿をはずして、注射部位から血が出ていないことを確認して終了です。
大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニックでは医師や看護師から指導を受けることができますので、不安な方も安心して始めることができます。
ヌーカラの投与スケジュール
ヌーカラは4週間に1回、皮下注射します。
- 【気管支喘息】
通常、成人および12歳以上の小児には、1回100mg(1ヵ所)を、4週間ごとに1回皮下に注射します。 - 【鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎】
通常、成人には、1回100mg(1ヵ所)を、4週間ごとに1回皮下に注射します。 - 【好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)】
通常、成人には、1回300mg(3ヵ所:1ヵ所あたり100mg)を、4週間ごとに1回皮下に注射します。
※具体的な使用期間や投与スケジュールについては、当院の医師にご相談ください。
大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニックでは、日本呼吸器学会認定の呼吸器専門医である院長が、
患者様一人ひとりに丁寧な問診・診察を行い、最適な治療をご提案いたします。
ヌーカラの効果
ヌーカラの有効成分メポリズマブ(遺伝子組換え)は、インターロイキン-5(IL-5)のはたらきを抑えることで、気管支喘息や好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の原因の一つである好酸球を減少させ、炎症を抑えて症状の出にくい状態を維持します。
ヌーカラの副作用と注意点
過去にヌーカラに含まれる成分で過敏症のあった人は、この薬を使用することはできません。
次の人は、特に注意が必要です。使い始める前に医師または薬剤師に告げてください。
- 蠕虫(ぜんちゅう)類に感染している人
- 妊婦または妊娠している可能性のある人
- 授乳中の人
ヌーカラは一部の寄生虫(蠕虫)感染に対する免疫応答に関わっている可能性がある血中好酸球数を減少させます。蠕虫類に感染している人は、この薬を使用する前に蠕虫類の感染に対する治療が行われます。ヌーカラを自己注射するにあたって、患者さんや家族の方は危険性と対処法について十分理解できるまで説明を受けてください。また、使用済みのシリンジおよびペンの廃棄方法などについて十分理解できるまで説明を受けてください。
ヌーカラを注射した後、次のような症状が出た場合には、すぐに医療機関にご相談ください。
- アナフィラキシー【重大な副作用】
ふらつき、じんま疹、全身のかゆみ、喉のかゆみ、動悸(どうき)、息苦しい - 注射した部位が痛む、赤くなる、腫れる、かゆい、熱くなるなどの症状
- 頭痛
使用を始める前に、医師としっかり相談し、自分の体調やアレルギーの有無を確認することが大切です。特に、ヌーカラに含まれる成分で過敏症のあった人は、使用ができないため注意が必要です。
ヌーカラのメリットとデメリット
メリット
- 自宅で簡単に注射できる
初めは病院での注射が必要ですが、3回目以降は自宅で自己注射を行うことができ、通院の負担が減ります。自宅でできるため、忙しい生活の中でも治療を続けやすいです。 - 効果的な治療が可能
症状が改善されることで、日常生活が楽になり、外出や運動を楽しむことができるようになります。
デメリット
- 注射による痛みや不安
注射を自分で行うことに不安を感じる方もいるかもしれません。また、注射部位に痛みや腫れが生じることがあります。 - 副作用のリスク
まれに、アナフィラキシーなどの重篤なアレルギー反応が起こることがあります。副作用が出た場合には、すぐに医師に相談する必要があります。
まとめ
ヌーカラは、難治性の気管支喘息や好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の治療において非常に効果的な選択肢となります。患者様一人ひとりの症状に応じた治療を提供し、生活の質を大きく向上させることが期待できます。
当院では、ヌーカラの使用方法や治療スケジュールについて詳しくご説明し、安心して治療を続けていただけるようサポートしています。初回・2回目の注射は院内で行い、その後はご自宅で自己注射が可能となるため、通院の負担が軽減され、日常生活がより快適になります。
※ヌーカラの使用方法や投与スケジュールについての詳細は、当院の医師にご相談ください。
大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニックでは、呼吸器専門医が患者様一人ひとりに最適な治療を提供し、専門的なサポートを行っています。呼吸器に関するお悩みや不安があれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。