咳が長引く慢性咳嗽!咳喘息の原因と対処法 - 大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニック

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最終更新日:2025.3.7

咳が長引く慢性咳嗽!咳喘息の原因と対処法

慢性咳嗽(がいそう)とは

慢性咳嗽とは、咳が8週間以上続く状態のことです。

咳は症状が続く期間により以下の3種類に分けられます。

  • 急性咳嗽:急性咳嗽は3週間未満の咳を指し、ウイルス感染による上気道炎が主な原因です。
  • 遷延性咳嗽:遷延性咳嗽は4〜7週間持続する咳で、感染後の咳などが含まれます。
  • 慢性咳嗽:慢性咳嗽は8週間以上続く咳が対象となり、咳喘息や副鼻腔気管支症候群などがその主な原因として挙げられます。

急性咳嗽は、ウイルス性の風邪や上気道感染などによって引き起こされ、短期間で自然に改善することが多いですが、慢性咳嗽はその期間が長いため、日常生活に大きな影響を及ぼす場合があります。

咳が長引いてしまうと気管支が炎症を起こし、さらに咳が悪化するという悪循環に陥ったり、睡眠の質の低下や、日中の集中力が失われるなどの影響もあります。

慢性咳嗽の原因は様々で、複数の要因が絡み合っていることもあるため、正しい診断と治療を受けることが大切です。

慢性咳嗽の主な原因と関連疾患

咳喘息

慢性咳嗽の主な原因のひとつに咳喘息があります。咳喘息は、喘鳴(ゼーゼー音)や呼吸困難が伴わないものの、長期間続く乾性咳嗽が特徴です。特に夜間や早朝に咳が悪化することが多い点が特徴です。診断には肺機能検査や呼気一酸化窒素(NO)測定が行われ、治療では吸入ステロイドや気管支拡張薬を使用します。適切な治療を怠ると気管支喘息へ進行する可能性があるため、早い段階で対処することが重要です。

アトピー性咳嗽

アレルギー体質の人に多く見られる症状で、体内で炎症が起こりやすい状態が続くことから、持続的な咳が現れます。

胃食道逆流症(GERD)

胃食道逆流症(GERD)も慢性咳嗽の原因となる場合があります。この場合、胃酸が食道を逆流して異物として感知されることで咳が誘発されます。食後や横になると症状が悪化することが多いのが特徴です。診断に際しては逆流性食道炎の有無を確認することが重要で、治療には制酸薬の使用や食生活の改善が効果的です。

副鼻腔気管支症候群

副鼻腔気管支症候群は、慢性咳嗽に関連する原因として知られています。この状態では副鼻腔炎による粘液が鼻から喉へ流れる「後鼻漏」が生じ、咳嗽を引き起こします。患者は喉の違和感や咳反射を感じやすく、痰が絡む場合もあります。診断には副鼻腔炎の存在が確認されることが必要で、治療は抗菌薬や除去療法を中心に行います。

咳喘息とは

ここでは、慢性咳嗽の原因となることが最も多い咳喘息について詳しく解説します。

上記で述べたように咳喘息は気管支喘息と違い、主な症状が咳である点が特徴です。

気管支喘息では、呼吸困難や「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった喘鳴、胸の圧迫感が目立ちますが、咳喘息の場合は主に乾性咳嗽(痰の伴わない咳)を特徴とし、喘鳴(ゼーゼーという音)や呼吸困難がみられません。


咳喘息は、気道の過敏性や炎症が主な原因とされ、特に夜間や早朝に咳が悪化しやすい傾向があります。環境中のアレルゲンや刺激物、さらにはストレスなどが引き金となって、気道の収縮や炎症反応を促進するため、咳が長引くケースが多くなります。

咳喘息の原因

咳喘息の原因は、アレルギーの影響やウイルス感染後の気道の炎症が発端となることが多いとされています。

タバコの煙やダニ、花粉、ハウスダストなどのアレルゲンや、ストレス、冷気、運動などの刺激が症状を引き起こす要因となることもあり、アレルギー疾患や喘息の家族歴が関係する場合も多く見られます。

咳喘息の症状

これらの症状ががあると、咳喘息の可能性があります。

  • 何週間にもわたって乾いた咳が続いている
  • 眠りに入ると共に咳が増えることが多く、深夜・早朝に咳が悪化する
  • 季節の変わり目や、特定の季節に咳が続く
  • 空気が冷たいときや、運動をしているときに咳が出る
  • のどにイガイガ感や締め付けを感じる

咳喘息の診断

咳喘息の診断基準の一つに8週間以上咳が続くことがあげられますが、患者様の負担が大きいため、咳が3週間以上続き喘鳴は見受けられない場合、咳喘息の可能性が考えられます。

また、気管支拡張薬の使用後に咳の症状が明らかに改善する場合も、咳喘息が疑われる判断材料となります。

咳喘息は呼吸器内科で頻繁に診察される疾患ですが、正確な診断が難しいこともあります。

咳は主に呼吸器の問題で起こりますが、他の要因が原因となることもあるためです。

特に咳喘息は、咳以外の症状がほとんどないため、風邪やアレルギーと誤診される可能性があります。もし風邪と診断されて咳止め薬を処方されても、咳喘息には効果が乏しく、場合によっては症状が悪化することも考えられます。

そのため、問診で生活習慣の確認や胸部レントゲン検査、呼気NO検査スパイロメトリーを用いた肺機能検査、アレルギー検査を行います。

これらの検査で咳喘息か、または他の原因による慢性咳嗽であるのかを明確にし、適切な治療方針を立てるための基盤とします。

咳喘息の治療

咳喘息の治療は、基本的には気道の炎症を抑えることと、過敏性を改善することを目的にしています。

咳喘息は長期にわたる疾患であるため、短期間で劇的な改善を期待するのではなく、継続的なケアと生活習慣の改善が鍵となります。場合によっては、他の慢性咳嗽の原因となる疾患と併発していることもあるため、多面的な治療が必要です。

治療法は一人ひとりの症状に応じて異なりますが、主に以下のような方法で行います。

吸入ステロイド薬の使用

炎症を鎮めるための吸入ステロイドは、咳喘息治療の第一選択薬として広く用いられています。定期的な使用により、気道の炎症を効果的に抑え、咳の頻度や強度を軽減する効果が期待されます。

気管支拡張薬

気管支拡張薬は、気道を広げることで咳症状を緩和します。主に即効性が求められる場合や急激な咳発作時に使用されることが多いです。この薬はβ2刺激薬と呼ばれる種類が一般的で、短時間で効果を発揮します。ただし、気管支拡張薬のみでは根本的な治療にはつながらないため、吸入ステロイド薬との併用が一般的です。

その他の薬物療法

咳喘息の治療には、吸入ステロイド薬や気管支拡張薬以外にも、必要に応じてさまざまな薬物療法が用いられることがあります。例えば、ロイコトリエン受容体拮抗薬は、気道過敏性を軽減することで咳の症状を和らげる役割を果たします。また、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬が処方される場合もあります。これらはアレルギーが咳喘息の原因となっている場合に効果的です。

生活習慣の見直しと環境対策

咳喘息の治療を効果的に進めるには、薬だけでなく生活習慣の見直しも重要です。まず、アレルゲンとなる物質を遠ざけることがポイントです。例えば、室内のホコリやペットの毛、花粉などが刺激となる場合があるため、定期的な掃除を心がけましょう。

また、ストレスや睡眠不足も症状を悪化させる要因となりますので、規則正しい生活習慣を維持することが求められます。さらに、喫煙や副流煙は咳喘息の治療を妨げるため、できる限り避けるようにしてください。これらの生活習慣の改善により、薬物治療の効果を高め、咳喘息の症状が軽減する可能性があります。

まとめ

慢性咳嗽は、8週間以上持続する咳を指し、さまざまな原因や疾患が関与しています。

咳喘息や気管支喘息、アトピー性咳嗽、胃食道逆流症(GERD)、副鼻腔気管支症候群などの疾患が慢性咳嗽の主な原因として挙げられます。

特に咳喘息であることが多く、市販の咳止め薬では効果が期待できません。

自己判断は避け、専門医による検査を受けるようにしましょう。

症状が治まったと感じても、自己判断で治療を中断したり、薬の量を調整したりすることは大変危険です。医師の指示に従い、通常は3~6ヶ月程度の継続的な治療が重要となります。

咳が治らないと感じた場合は、内科や呼吸器内科を早めに受診し、専門医の指導に従うことが大切です。

大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニックでは、日本呼吸器学会の専門医が診療を行っております。

丁寧に診察し、適切な治療をご提案してまいりますのでご相談ください。

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