肺気腫・COPDの基礎知識~早期発見と正しい対処法を知る~ - 大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニック

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最終更新日:2025.6.13

肺気腫・COPDの基礎知識~早期発見と正しい対処法を知る~

目次

  1. COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは?
  2. COPD(慢性閉塞性肺疾患)の主な症状
  3. COPD(慢性閉塞性肺疾患)の診断方法
  4. COPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療法
  5. COPD(慢性閉塞性肺疾患)の予防と生活習慣
  6. まとめ

COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは?

COPDは、以前は「慢性気管支炎」や「肺気腫」といった名称で個別に呼ばれていた病気をまとめた総称です。
これらの疾患はすべて、肺に慢性的な炎症や構造の破壊をもたらし呼吸機能が徐々に低下していくという共通の特徴を持っています。

主な原因は、長年にわたる喫煙習慣です。
タバコの煙に含まれる有害物質が気道や肺胞に慢性的なダメージを与えることで、肺が本来の働きを徐々に失っていきます。
そのため、COPDは「肺の生活習慣病」とも呼ばれています。

特に中高年の方で、10年以上の喫煙歴があり、最近「咳が続く」「たんが増えた」「階段を上ると息が切れる」といった症状を感じている場合、COPDの可能性があります。
病気はゆっくりと進行するため、症状に気づいたときにはすでに肺機能がかなり低下していることも少なくありません。
特に肺気腫の進行は自覚症状が出にくく、気づいたときには肺機能が大きく低下していることもあります。

COPDは一度発症すると元の健康な肺に戻ることはありませんが、早期に発見し
適切な治療や生活習慣の見直しを行うことで進行を食い止め、日常生活の質(QOL)を保つことが可能です。

さらに、COPDは肺の病気にとどまらず、心臓病や骨粗鬆症、うつ病などの全身的な合併症を引き起こす可能性もあるため単なる「咳や息切れ」と軽視せず、専門医の診断を受けることが大切です。

大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニックでは、呼吸器疾患を専門に臨床経験を積んできた日本呼吸器学会 呼吸器専門医が診療いたします。
的確な診断と丁寧で分かりやすい説明を心掛け、納得していただいた上で治療を行ってまいります。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の主な症状

・長引く咳
・痰が多い
・息切れ(特に階段の上り下りや坂道の歩行時)
・風邪などをきっかけに症状が悪化する(増悪)

これらの症状がある場合、早めに呼吸器内科を受診することをおすすめします。
大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニックでは、呼吸器専門医が患者様一人ひとりに最適な治療を提供し、専門的なサポートを行っています。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の診断方法

COPDは、進行性かつ不可逆的な肺の病気であり、早期発見と正確な診断が非常に重要です。
診断は主に以下のステップで行われます。

1. 問診

・長期間の喫煙歴(特に10年以上)
・咳や痰が長く続いている
・坂道や階段で息切れがする(労作時の呼吸困難)
・風邪をひくと咳・痰が悪化しやすい
・以前よりも運動能力が落ちたと感じる
これらの症状が見られる場合、COPDの可能性があると考えられます

2. 肺機能検査(スパイロメトリー)

COPDの確定診断において最も重要なのが「肺機能検査(スパイロメトリー)」です。
この検査では、呼吸の力と肺の容量を数値で評価します。
特に重要なのは以下の2つの指標です。
・1秒量(FEV₁):1秒間でどれだけの空気を吐き出せるか
・1秒率(FEV₁ / FVC):努力肺活量(FVC)に対する1秒量の割合
1秒率が70%未満であれば、COPDと診断される可能性が高くなります。
この検査によって、呼吸の通り道(気道)がどの程度狭くなっているかを客観的に評価できます。

3. 画像検査(胸部レントゲン・CT)

COPDによる肺の構造変化を可視化するために、以下の画像検査も行います。
・胸部レントゲン:肺の過膨張や横隔膜の平坦化など、典型的な所見を確認します。
・胸部CT:より詳細な画像で、肺気腫の分布や重症度、他疾患との鑑別を行います。
 早期の段階で肺の損傷を検出するのにも有用です。

4. CAT(COPDアセスメントテスト)

COPDでは、客観的な検査だけでなく、日常生活における症状の感じ方や治療効果の評価も重要です。
そのために使用されるのがCAT(COPDアセスメントテスト)です。
8つの質問項目(例:咳の頻度、痰の量、胸の圧迫感、階段の昇降のつらさなど)に答え、合計点を算出します。
点数が高いほど症状が重く、患者の生活への影響が大きいことを意味します。
定期的に評価することで、病状の変化や治療の効果を把握し、早期の増悪(悪化)を見逃さずに対応できます。


上記の通りCOPDの診断には、問診・肺機能検査・画像検査・症状評価(CAT)の4つの柱があります。
早期に正しく診断することで、進行を遅らせる治療や生活改善を始めることが可能です。
「年のせい」と思っていた息切れや咳が、実はCOPDのサインかもしれません。
大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニックでは、より高度な検査や治療が必要と判断した場合は、基幹病院をはじめ適切な医療機関へご紹介させていただきます。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療法

COPDの治療は「今ある症状を改善し、これ以上悪化させないこと」が基本方針です。
病状の重症度や患者さんの生活スタイルに応じて、治療法を組み合わせて行います。

1. 禁煙 〜治療の第一歩〜

COPDの最大の原因は喫煙であり、進行を防ぐ最も効果的な方法は禁煙です。

🔹禁煙のメリット
・肺機能の低下スピードが緩やかになります。
・咳や痰、息切れなどの症状が軽減します。
・感染症(風邪や肺炎)にかかりにくくなります。

🔹禁煙が難しい場合は?
多くの方が「自力ではやめられない」と感じています。そんな時は禁煙外来の活用がおすすめです。
・ニコチン代替療法(ニコチンパッチやガム)
・禁煙補助薬(バレニクリンなどの内服薬)
・医師や看護師の心理的サポート
 健康保険が適用されることも多く、継続しやすい環境が整っています。

2. 薬物療法 〜息苦しさを軽くし、悪化を防ぐ〜

COPDでは、気道が慢性的に狭くなっているため、気管支を拡げる薬を中心に治療します。

🔹吸入薬(基本治療)
 直接肺に届けることで、高い効果と少ない副作用が期待できます。
 ・LAMA(長時間作用型抗コリン薬)
 ・LABA(長時間作用型β2刺激薬)
 ・ICS(吸入ステロイド)
 ・トリプル吸入療法(LAMA+LABA+ICSを1本にしたもの)

🔹内服薬やその他の薬剤
 ・去痰薬(カルボシステインなど):痰を出しやすくする
 ・テオフィリン製剤:気管支拡張作用あり(副作用に注意)
 ・抗生物質やステロイド:増悪時に短期間使用

3. 在宅酸素療法 〜酸素を補うことで体の負担を軽減〜

COPDが進行して、血液中の酸素が慢性的に不足するようになると、酸素吸入が必要になります。

🔹使用の目安
 ・安静時の血中酸素濃度(SpO₂)が88%以下
 ・体力低下や息苦しさが強い場合

🔹使用方法
 ・酸素濃縮器を使って、自宅で24時間酸素を吸入
 ・携帯用ボンベがあれば外出も可能

🔹効果
 ・息苦しさの改善
 ・心臓への負担の軽減
 ・生存率の向上(研究でも実証されています)

4. 呼吸リハビリテーション 〜息切れに強い体づくり〜

COPDの患者さんは「動くと息が切れるから運動しない→さらに筋力が落ちて動けなくなる」という悪循環に陥りがちです。これを防ぐのが呼吸リハビリです。

🔹内容
 ・有酸素運動(ウォーキング、自転車こぎなど)
 ・筋力トレーニング(下肢を中心に)
 ・呼吸トレーニング(腹式呼吸、口すぼめ呼吸で効率的な呼吸法を身につける)
 ・心理的サポート・栄養指導も並行して行う

🔹効果
 ・息切れが軽減される
 ・動ける範囲が広がり、生活の質(QOL)が向上
 ・不安やうつ傾向の改善
 ・リハビリは病院だけでなく、在宅でも継続可能なプログラムもあります。

5. ワクチン接種 〜増悪を防ぐ重要な予防策〜

COPDの患者さんは、風邪や肺炎で急激に悪化(増悪)するリスクがあります。予防のために以下のワクチン接種が推奨されます。
 ・インフルエンザワクチン(年1回)
 ・肺炎球菌ワクチン(5年ごと)
 ・※必要に応じて新型コロナワクチンの接種も検討

COPD(慢性閉塞性肺疾患)の予防と生活習慣

COPDは、生活習慣と密接に関係しており、日々の行動を見直すことで発症のリスクを下げたり
症状の進行を抑えたりすることが可能です。
以下のポイントを意識した予防が重要です。

1. 禁煙を徹底する

COPD予防でもっとも重要なのが「タバコを吸わないこと」です。
・喫煙はCOPDの最大の原因です。受動喫煙(他人の煙)でもリスクは高まります。
・すでに喫煙している人は、一刻も早い禁煙が発症と進行予防のカギ。
・禁煙は肺機能の悪化を止める唯一の方法です。
・難しい場合は、禁煙外来など専門機関のサポートを活用しましょう。

2. 大気汚染や粉じんの多い場所ではマスクを着用する

有害な微粒子(PM2.5)や化学物質は、呼吸器に炎症を起こしCOPDの原因になります。
・屋外の大気汚染指数が高い日はなるべく外出を避けるか、防塵効果のあるマスクを着用。
・交通量の多い道路や工事現場などの付近も注意。
・室内でもタバコの煙やお香、調理時の煙には換気を心がけましょう。

3. 感染症を防ぐ(ワクチン接種)

風邪、インフルエンザ、肺炎などの感染症は、COPDの引き金になったり、すでにあるCOPDを急激に悪化(増悪)させる原因になります。
・インフルエンザワクチン(毎年)
・肺炎球菌ワクチン(5年ごと)
・必要に応じて、新型コロナウイルスの予防接種も考慮
・手洗い・うがい・マスク着用など、日常の感染対策も継続

4. 栄養バランスの取れた食事を心がける

肺機能の維持や免疫力向上には、食生活も大きな役割を果たします。
・高タンパク・低脂肪・ビタミン豊富な食事を基本に
・野菜や果物で抗酸化物質(ビタミンC・Eなど)を摂取
・過度の飲酒や高塩分の食事は避ける
・肺気腫が進行している人は、痩せすぎに注意(筋力の低下を防ぐため)

5. 適度な運動を習慣にする

運動不足は、COPDの進行や日常生活能力の低下を招きます。
・軽い有酸素運動(ウォーキング・自転車こぎなど)を無理なく継続
・呼吸法(口すぼめ呼吸・腹式呼吸)を取り入れた運動が効果的
・日常の中でも「こまめに体を動かす」ことを意識
・持病がある場合は、医師に相談して無理のない範囲で実施

6. ストレスを溜めないようにする

ストレスは免疫力の低下を引き起こし、間接的にCOPDのリスクを高めることがあります。
・呼吸が浅くなりやすく、悪循環に陥る原因にも
・趣味やリラクゼーション、十分な睡眠を確保してストレスケアを
・必要であれば、心理的なサポート(カウンセリング)を利用するのも一つの方法です。


COPDは「タバコを吸う人だけの病気」と思われがちですが
生活環境や体調管理も大きく関係しています。
日々の積み重ねが、将来の呼吸のしやすさに直結します。
気になる症状があれば、早めに呼吸器内科を受診しましょう。
大阪心斎橋呼吸器内科・内科クリニックは、大阪エリアで信頼される呼吸器専門クリニックとして、大阪在住の多くの患者さまにご利用いただいています。

まとめ

COPDは「タバコを吸う人だけの病気」と思われがちですが
生活環境や体調管理も大きく影響しています。
日々の小さな工夫や意識の積み重ねが将来の呼吸のしやすさにつながります。

また、早期発見と適切な治療によって、症状の進行を遅らせ生活の質を維持することが可能です。
気になる症状があれば、早めに専門医を受診し、適切な対策を行うことが大切です。

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